ビジネスに「も」役立つ英文法  (最終回)

半年の間ご愛読いただきましたこのコラムも今回で最終回となりました。

第2回ですでに述べたように「ビジネス英語」という分野は存在しません。それは我々英語を教える立場にあるものがビジネスシーンを多用する教材に便宜的に名前をつけたにすぎないのです。少し考えてみればわかるとおり、「プレゼンテーションは抜群なのに普通の会話はさっぱり」「すばらしい交渉能力をもっているのに、手紙も書けない」という人は存在しません。英語一般の能力があり、その上でビジネス関係の言い回しができる、これがビジネスマンが使う英語の当たり前の姿なのです。そして英語一般の能力の土台となるもの、それが英文法なのです。

みなさんは「英文法」というと、will = be going to などという埒もない等式を山のように覚えなければならないモノ、という「常識」をもっているかもしれません。もちろんそのようなまちがった「英文法」は役に立つはずもなく、また早晩消えていく運命でしょう。

私が著書や講演、コラム執筆を通じ提唱する本来の英文法はまったく違います。

英語を感覚のレベルでつかいこなすことができるための文法。みなさんにもその極々一部をお見せした、ネイティブの感覚を養う英文法。それがこれからの英文法の形です。次の文を見てみましょう。

 a. I think that he is an idiot.
 b. I think he is an idiot.

みなさんはどちらの文を自然な英文だと思いますか。もちろん答えは b ですね。ネイティブならほぼ 100%、 b を選ぶはずです。しかし従来の英文法は「思う・言うなどの動詞に後続する that は省略可能」などと書いて安心しています。省略可能ならこの that はなぜなくならないのでしょうか。またビジネスレターに慣れている方なら「formal writing では that を多用する」などということも「覚えて」おられることでしょう。ですが、それは本当の知識ではありません。まったく応用のきかない、ただの念仏にすぎないのです。

本来ビジネスの場で使われる英語、それはこのような表層的英語理解の延長線上にはありません。また「プレゼンテーション用英語」「ネゴシエーション用の英語」などといったお手軽な学習の先にもないのです。ネイティブの感覚を知り、それを実践で使う能力を養い、その上でさらに高度なテクニックを身につけて初めて、ビジネスで生きる英語が身に付くのです。

ネイティブの感覚を身につけてください。一つの単語、一つの言い回し、すべてにネイティブは鋭い感覚をもっています。そして、それを学ぶことは苦しいことではありません。みなさんが念仏のように唱え遵守してきた「文法事項」「暗記事項」からみなさんを解き放ってくれるはずです。英語が肌で感じられるこの上もない充実感を与えてくれるにちがいありません。そしてその先にみなさんが身につけなくてはならない本当のビジネス英語があるのです。

道は険しくありません...もし正しい道を選んだなら、の話ですが。がんばってください。心から応援しています。ご愛読ありがとうございました。

末筆になりましたが、本コラムを支えてくださった DHC 教材作成部・毎日キャリアナビに深く感謝いたします。ありがとうございました。

                       大西泰斗
                       Paul C. McVay

 このコラムは今回で終わりですが、DHC-mail は果てしなく続きます。くるしーなー。是非ご愛読ください。タダです。なんでかなー。