第2回  「ビジネス英語」と英文法

   みなさんこんにちは。

   第1回を読まれた方はさぞや驚かれたことでしょう。 「『ビジネス英語』に『文法』は関係ないじゃないか。すぐに役に立つ便利なフレーズをいくつか教えてもらった方がありがたい」と思われた方も多いのではないでしょうか。それは至極まっとうな感想でしょう。世間に大量にある「ビジネス系」の本の多くはそういった「便利フレーズ丸暗記路線」で書かれていますから。ですが、そのようなパッチワークは結局機能しません。そのような勉強法ではみなさんの望まれる英語力は決してついてこないのです。

  ■「ビジネス英語」などという英語はない
 最近「ビジネス英語」という用語が「英語」を離れて世間を一人歩きしています。しかし、改めて言うまでもなく、そうした特殊な英語があるわけではありません。私のバルセロナの友人が英語を勉強しているのですが、先日会った時、

    「ビジネス英語始めたんだ」

と得意顔で言うのです。妙なことを言う奴だなぁと思って

          「英語始めたの?」

と訊くと

          「いや、ビジネス英語だ」

と顔を赤くするのです。
「魚屋英語」「専業主婦英語」や「白幡中学校英語」などがないのと同様、「ビジネス英語」などというものはありません。教材としてビジネスシーンを使うだけの、単なる英語なのです。このことはまず肝に銘じてほしいのです。

 ■「ビジネス英語」の達人は英語の達人
 ですから「ビジネス英語」だけに単体で熟達することは不可能なのです。英語全体に習熟せねばならないのです。そのために私の提唱するまったく新しい「英文法」---ネイティブのイメージによる英文法 ---がどうしても必要になってくるのです。

■ビジネスシーンで用いられる英語の特殊性
 ビジネスシーンで使われる英語は、普通の日常会話とはちがいます。その一番のちがいは、日本語で行われるビジネスシーンを考えればすぐにわかることですが、より微妙な綱引きが要求される、ということです。相手の心理の動きに当意即妙に対応できる洗練された語学力が必要だ、ということです。「〜氏に面会したいのですが」「はい、こちらへどうぞ」「どうぞごゆっくり。お茶でもいかがですか」のレベルをはるかに越えた、生き物としての英語。それを肌で感じなければ勝負にはならない、ということです。  そしてその力をつけるための、私の知る限り、唯一の方策は「イメージによる英文法」なのです。

■このコラムで何を学ぶのか

 私の知っているいくつかのビジネスイングリッシュコースでは、「ビジネス英語」の技能を3つに分けています。

          a. Telephone English (電話での受け答え)
          b. Presentation (プレゼン)
          c. Negotiation     (交渉)

 それぞれビジネスシーンを使いながら、用語や文例を丸暗記させるというものです。もちろん、ある程度表現が限られていて相手の反応も画一的な Telephone English や Presentation であれば、それでもいいのでしょう。
  しかし Negotiation で必要とされるような高度な語学力はそのやり方では身につきません。逐語訳の丸暗記か旧態依然とした文法モデル(みなさんが中学高校でやってきた学校文法を思いだしてください)を用いているからです。それで「相手の心理に当意即妙に」など実現できるわけはないのです。
 ビジネスの交渉の場で役に立つハイレベルな英語を身につけるためには「ネイティブの気持ち」を学ばねばなりません。英語の本当の姿を知らねばならないのです。
 さて、このコラムでは「ネイティブのイメージによる英文法」のごくごく限られた一部を使って、みなさんのビジネスの役に立つ英語力を養成していきます。解説の中心はは Negotiation となります。Telephone English, Presentation はそれほどむずかしい話題ではありません。学ばねばならない表現は限られています。このコラムで取り上げるまでもないでしょう。

 もう十分ですね。みなさんの多くはすでに、このコラムの持っている新しい性質、可能性にお気づきになったと思います。来週から具体的なお話に入ることにしましょう。

                                                                                ではまた来週。