第5回 Negotiation 3.

Politeness -丁寧な印象を与えるテクニック- (3)

■先週までのまとめ

 1.      ビジネス英語に不可欠な交渉力を身につけるためには「ネイティブの 感覚による英文法」。
  2.      まずは「丁寧な印象を与えるテクニック」
  3.      丁寧さの起源は「本来言いたいことから離れる」 こと

 

■ SCENE 1.  INTERRUPTING (人の話をさえぎる)2

 先週の例をもう一度使いましょう。

ヲSITUATION
A は 組織のdownsizing を提案しようとしています。ま、よーするに人減らしですね。これに絶対反対のあなた(B) は、A の話を急いでさえぎる必要がでてきました。

 この状況で相手に不快に思われることなく発言を interrupt してみてください。まずはもっともお気軽な方法。丁寧にさえぎる決まり文句です。

 (iii) 丁寧にさえぎる決まり文句を使ってください

 A. I think downsizing is the only option, and I...
 (組織のスリム化しかとるべき道はないと思うんだが...)
 B. Excuse me, but I think there are other far less drastic options.
 (お話しの途中ですが、私には他にもはるかにゆるやかな方策がある ように思えます)

<解説>
 ま、何のことはありません。Excuse me... という非礼をわびることばをつけただけです。Excuse me...というわけをもう少し具体的に示したければ

 Excuse me / Pardon me for interrupting, but...

 でもかまいません。また、他にも

 Sorry to interrupt, but... (お話しの途中すみませんが)
 Yes, but... (ええ、しかし...)

などいろいろありますよ。まぁ、このレベルは私がどーこー言わなくても大丈夫ですね?

 さて、もう少し英語力がついてくると次のような丁寧さも醸し出すことができるようになります。丁寧さメカニズムを思い出してくださいね。「本来言いたいことから離れる」 ことでした。

 

 (iv) 遠回しな表現を使って過激な表現を避けてください。

「そりゃーひどいアイデアだ」「そんなことするとみんな  怒り狂うぜ」などと、思った通りの表現はしばしば相手 に不快感を与えます。「本来言いたいことから離れる」ことによって、やわらかな丁寧さが醸し出されるのです。

A. I think downsizing is the only option, and I...
B. Well, I'm not sure that's such a good idea. 
A. Why not?
B. Those who lose their jobs won't be too happy about it.
A. Mmmm... Perhaps you're right, but what else can we do?

<解説>
 ネイティブクラスの巧みな話っぷりが伝わりますか?でも何もむずかしくはないんですよ。念頭にあるのは「直接はいえねーよな。ちょっと離れてみよ」だけなんです。この気持ちさえ理解することができれば、おいおいこの程度の切り返しはできるようになるはずですよ。

 I'm not sure that's such a good idea. は「いいアイデアだとは言えないかも知れない」です。terrible idea! (ひでーアイデア)と言いたいところを not such a good idea に置き換えて「離れて」いますね。。ですが That's not such a good idea. というとまだ少し強い感じがするのです。これをやわらげるために I'm not sure...(確信はもてない)と、話をぼやかしています。学ぶべきテクニックですね。
 won't be too happy... furious (激怒している)と言いたいところを「あまりうれしくはないだろうな」と「離れて」います。ほら、こんなのもすぐに使えそうでしょう?

 Perhaps you're right. 面白いのはここです。B の婉曲作戦に影響されて A さんも遠回し作戦にでています。「うーん、君の意見が正しいかもしれないが...」。 A さんもちろん自分が正しいと思っているんですよ。そこを言わずに「君が...かもしれない」。やはりここでも「本来言いたいことから離れる」が実践されていますね。そろそろ「離れる」呼吸がつかめてきたでしょう?

 

 さて、最後は文法的な操作(助動詞・過去形などを使う)によって丁寧さを醸し出してみましょう。

 

 (v) 助動詞・過去形を使って丁寧さを出してください。

 丁寧を醸し出す「離れる」は、助動詞や過去形を使っても実現できるんでしたね。

A. I think downsizing is the only option, and I...
B. Can(Could) I come in here? I think there are other far less drastic options.
   (ここで一言よろしいでしょうか)

<解説>
 助動詞の can を使うことによって、相手の許可を求めるワンクッションがおかれています。さらに could にして「現在のことを言っているのではない」というスタンスをとることによってツークッションです。もちろん could の方が丁寧なんですよ。他にも

Can(Could) I just add here that...?
Can(Could) I add something?
Can(Could) I (just) say something here?
Can(Could) I cut in here?

などなどいろいろなバリエーションが作れますが、全部同じことですね。

 

 さていかがでしたでしょうか。もうみなさんは模範例文丸暗記の無意味さがわかってきたのではないでしょうか。会話は生き物です。丁寧表現に限らず、その実現方法は無数にあるのです。2〜3の例文を覚えてオウムのように繰り返すのではなく、そのおおもと --この場合は「離れる」-- を捕まえさえすればあとはいかようにも、発言を展開できるのです。上のテクニックを組み合わせた

Excuse me, could I possibly interrupt here?  I think there are other far less drastic options...

なんて文を作ることも自由です。この自由!ネイティブなら誰でももっているこの自由を、「ネイティブの文法」を通じてみなさんにお伝えする、これがこのコラムの目標なのです。

 

 次週も丁寧表現、続きます。また来週。