Car_File 9. M3 の逝った日(前編)


ある日わしは夜中に採点をしておった。すると...
 
別れは突然やってくる
君のせいじゃないさ
みんな みんな 
世の中が狂っているからなんだよ
 
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TOYOTA WINDOM --- 信号待ち・よそ見小僧追突・廃車
HONDA PRELUDE --- 駐車中・よそ見おばさんに激突され廃車
HONDA INTEGRA --- 東名高速でエンジンブロー・廃車************************************************************

そして BMW M3

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自宅で大破
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M3

「M3 の逝った日(前編)」

 

 その日、私は深夜まで採点をしていた。世間では私のことを「本を売って食べてやがる」と思っているかもしれないが、それは誤解だ。そんなもので家族が養えるほど世の中は甘くない。本を書くのは趣味だ。本業は「英語の先生」。勤勉日本の実直サラリーマンなのだ。サラリーマンであるからして、会社の命令には逆らえない。雑誌の原稿が落ちようが、編集者が青くなって電話をかけてこようが、「成績の締め切りは26日です」と学校に言われればそれが絶対に優先なのだ。...というわけで、その日は1時を過ぎてもまだ定期試験の採点をしていたのである。日付けはすでに「27日」になっている。

 私の試験問題は必要以上にひねくれている上に論述式だ。誰も解けないし、私でもおそらく無理だ。いきおい学生の答案もわけのわからないものになる。

「サンスクリット語だな、これは」

ひらがなと漢字で書かれていても、わけがわからないところはサンスクリット語と同じである。私には読めない。意味不明の外国語で書かれた答案は全部「落第」にしながら、快調に○つけは進んだ。頻度からすれば、○つけというよりは×つけに近いのだが。「ああもうすぐ終わる。ギリギリ間に合った。今は27日だけど、明日の朝までは26日だからだ」。その時、
 
 ゴンッ

やけに身近なところで、やけ複雑で大きな音が聞こえた。子供が寝ぼけてベットから落ちたのだろうと思い、子供部屋を1つずつ開ける。何の異変もない。すやすや眠っている。

 「妙なこともあるものだな」

そう思って念のため、家の周りを見回ることにした。
 
 私の家は大きな池のほとりにある。こうした場所にはタヌキや霊魂の他、ロクでもない人間も集まってくる。ロケット花火を打ち上げたり、爆音バイクに乗ったり、犬にうんちさせてたり。だから何かあると、私は必ず外に行くことにしている。実際それで更生した青少年・おじさん・おばさんは数知れない。
 
 軽い気持ちで玄関のドアをあけると...

 玄関先で、私の M3 が「おにぎり」になっていた。
 
 その時私の頭をよぎったのは、事務のおねーさんの顔だった。

 「これじゃ成績は出せないな」

<以下後編に続く>