030124 フランダースの犬

 犬猫話をもう少し続けよう。私が熱心な動物愛護主義者であることは、十分理解していただけたであろうから、次に進む。犬猫に特段の興味はない。ミツバチや畑のネギ同様地球の仲間たち、という程度の認識である。ネギが好きなのと同様、犬も好きだ。ミルク缶 の大八車を牽いてくれたり、レンブラントの絵の下で寝るのを助けてくれたりもする、賢い動物であることも熟知している。ただ、人間と犬とがコンビネーションを作るとなると話は別 なのだ。

 私の家は街中にぽっかりある自然保護地域に面しており、景色が大変よろしい。従って愛犬家のお散歩コースである。ペディグリーチャムの露店でも出せば大儲けができそうなぐらい、毎日毎日犬が通 る---その数パーセントが我が家のガレージで小便をするという悪しき習慣に取り憑かれているのだ。

 こういったことは経験がないとわかりづらいだろうが、毎日夕方バケツに水を汲んで、赤の他人が好きこのんで飼っている動物のために掃除を強いられると言えば伝わるか。ガレージだけなら我慢もする。私も周囲から「生き仏」と呼ばれる温厚な天秤座だ。しかし生憎なことに、我が家の庭には塀がない。芝生も畑も無防備なのだ。やっと芽を出した可愛いプチトマトが、犬に小便をかけられて枯れていたり、犬の糞や足跡の下敷きになって平たくなっていることも日常茶飯事なのだ。しかもそれは野犬の仕業ではない。野犬は近所に一匹もいないのだ。飼い主たる愛犬家の監視下において、すべての暴挙がなされているのである。

 さて、ある日私が二階のベランダで、遠くに森を眺めながら到底本に書けないような偉大な着想を練っていると...、あちらから犬を連れた愛犬家が歩いてくる。50歳くらいの男だ。やおら立ち止まると、我が家のガレージに小便をひっかけさせている。私の真下 3M で、だ。

 

                   <緊迫しながら次号へ、つづく>