車が家にやってきた。免許を取ってから買うのはこれで16台目。単純に言って、2回目の正月を迎えた車はあまりない計算になる。
特にマニアというわけではない。どれもこれも何の変哲もない良識ある市民の乗る車だ。ただ不思議なもので、気に入って乗っているうちに、「これは僕じゃないな」という気がしてくるのだ。ずっと好きだった女の子の前歯に、青のりを発見した時のような興ざめがふと訪れるのである。シフトの入り方がふと気に入らなくなる。ダンパーが突っ張っているような気がふとする。ふと気がつくと車内で雨が降っていたりする(イギリスで乗ってたAustin-Roverは屋根が腐ってた)。その度に本屋に出かけて後日車屋に直行することになる。その度に余計な出費を背負わされ、最近では「ふと」が起こると同時に寒気が背筋を走り抜けたりもする。
まぁ仕方がない。誰でもこれだけは譲れないってところがあるんだろうから。そこらのイヤリングした金髪兄ちゃんだって、革ジャンのチャックの有り様に神経尖らせていたりするんだろうから。僕の場合はそれが車だというだけの話だ。
ガレージに16号が鎮座している。ゴツい。その巨大な鼻の穴を見ているうちに、
... ふと。
車屋さんが帰った後、その車は3センチぐらいしか動いていない。うーむ。