みなさんこんにちは。先週号を「舐めるように」復習してくれましたか。1 つ1つを確実にそして深く理解する、それが「書く」につながる「読み」で す。
さあさっそく先週の続きを読んでいきましょう。
In sheer numbers, youth violence has begun to decline somewhat after a surge starting in the late 1980s. Despite the numbers, many experts say crimes by youths have been getting increasingly violent.【今週はここから】 They continue to debate what role drugs, media violence, poverty and unemployment play in fueling the problem. But most blame unprecedented access to guns, and too little parental or school supervision, for making youths who may be inclined to violence ever more deadly and reckless. 【大意】 若者の暴力行為は、1980年代末の爆発的増加と比べると幾分減少の傾向を見せている。しかし数の減少にも関わらず多くの専門家は、その犯罪傾向はますま す凶悪になって来ていると言う。麻薬、テレビ番組の暴力シーン、貧困、失業 の影響が引き続き取り沙汰されているが、専門家のほとんどは、銃の入手がこ れまでになく容易なことや親や学校の目が余りに行き届いていないことが、暴力的傾向をもつ若者をますます凶悪かつ無謀にしている、と考えている。 |
単純な文章です。しかしこの文章を「書けるか?」、それが私たちが常に念 頭に置かねばならないこと。書き手の立場に身を置くことによって、一見単純 な文章にさまざまなテクニックが使われていることがわかってきます。さあ、 早速それぞれの表現を「舐めて」行きましょう。
drug は「麻薬」。この単語はもちろん「薬」をあらわす普通の単語です。
A druggist is a person who is qualified to prepare and sell drugs.
(薬剤師は薬を調合し売る資格のある人のことです)
ですが「薬」を想起させる文脈がなく単独で使われるときには、「麻薬」の意 味になります。日本語の「ヤツは薬をやっている」とまったく並行しています ね。
media violence はテレビの暴力シーンなどを指しています。
role は「役割」。この単語が演劇などの「役柄」を意味することから play (演じる) といいコンビネーションを作ることはすぐに納得が行くでしょ う。
What role ...... play (どんな役割を演じているか) という文です。
fuel は「燃料(を供給する)」。燃えさかっている暴力問題にどんどん 「ガソリン」を供給している感触が、映像として伝わってきますね。
上手な書き手と下手くそを分ける1つの基準は、どれだけ的確で印象的な 表現ができるか、ということです。この fuelという表現はネイティブにとっ てもちょっと新鮮です。「へー、ピッタリ」という感触。
もちろん in making the matter/situation worse, in making the problem more serious, in exacerbating the problem(exacerbate:悪化させる) な どと、平たい(平凡な)表現を選んでもいいのです。でもそうした当たり前の 表現を繰り返す文章を誰が読みたくなるでしょうか。お役所の文書課ではない のですからね。
「自由」を手に入れてください。通り一遍の表現でなく、自分の思ったとお りのイメージを独自の言い回しで実現する自由です。それができて初めて人に 読ませるに値する文章になるのですよ。
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ここまでは「若者の暴力」に対して、誰もが思いつく、これまでも取り沙汰されてきた有名な原因 --- 麻薬・暴力シーン...など --- が扱われています。 読んでいる方は「それは知っているよ」と言いたいところ。書き手はそれを十分意識しています。そこで But...。ここでネイティブは「ここからが本題な のだ」と身構えます。
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but は「前の文と逆のこと」と単純に考えてはなりません。もちろん正逆の論旨を導くこともありますが、「ちがう見方」を提出するためにも使われま す。
I used to think that money was the source of happiness, but now I realize that good human relationships are the key. (以前は幸せをお金で買えるものだと思っていたが、今は暖かい人間関係が大切だと思っている)
日本語の「が」「しかし」と同様、豊かな単語なのですよ。この but によって、若者の暴力行為に対して新しい見方(原因)が導かれ ているのです。
most は most experts ということ。unprecedented は unprecedentedly easy ということです。当たり前ですね。では、これらを「省略しなかった ら」どういったことになるでしょうか。most experts とわざわざ書いたとし たら...。
非常に暑苦しい文章ができあがります。私なら溜息をつきますよ。分かり 切っていること、説明の必要のないこと、これらを執拗に繰り返す文章に読み 手は窒息します。
上手な書き手は常に必要最小限を目指します。論理の飛び石を少し離して、 読み手が快適にポンポンと飛べるように按配するものです。省略はその代表的 な工夫です。 飛び石を離しすぎないように気をつけながらみなさんも、上手に省略するこ とを学んでくださいね。
ちなみに unprecedented (前例のない)は長い単語ですが、ネイティブは 「お。ビッグワード」などとは感じません。まったく普通の単語です。
上手な「読み」の最大のコツ、英語を英語として読むコツ、それは「予測」 です。頭に次の来るべき内容のスロットを空けて「待ち受ける」、ということ です。 blame は「非難する」。その意味からポンとスロットを空けることが できなければなりません。
「太郎君を非難しました」
これでは情報として完結しません。「非難」する 以上、それ相応の理由があるはずですね。そのスロットを保持しながら文章 を読まねばなりません。そこで for。原因がフィードされます。blame が出て きた時点でネイティブは、原因がフィードされるのを「待っている」のです。
この「予測」もう1つ例をあげましょう。「感情をあらわす動詞と to 不定 詞」です。
I was surprised to hear the news. (ニュースを聞いて驚いた)
多くの文法書で、「to 不定詞は目的、結果、原因をあらわす」などとされて います。しかしもちろんto にそんな意味合いなど、そもそもありません。to 不定詞が「目的」になるのか、はたまた「結果・原因」として解釈されるのか は、ひとえに「予測」によります。
上の文を見てみましょう。「驚きました」で文は終われません。終わっても いいのですが情報が欠如しています。「驚く」には、相応の理由がいつでもあ るはずだからです。それがネイティブが保持するスロット---予測です。その 後に to が来るからこそ、それが「原因」をあらわすとすぐに了解されるので す。
さて原因をフィードする for ですが、for がそもそも「方向(→)」をあ らわすことを考えれば、この単語が原因に使われることが容易にわかるはず。
I couldn't see him for the crowds.(群衆で彼が見えなかった)
ただし、because のように接続詞として使うのは(しばしば文法書で紹介されていますが)止めましょう。古色蒼然とした表現です。
?? I didn't go to work for I was ill.
ちょっと「ぷぷっ」となるような変な文ですよ。
for 以下は非常に長くなっていますが、要するに「Aを...にする」という 形。make her happy と同じです。
ただ、ここでは youths 以下が「暴力に向かって傾いている (is inclined) かもしれない」という長い修飾語を伴っています。「暴力・非暴力」の境界線 上にいる若者」ということですが、こうした長い修飾語があったとしても、 make A ... という形をしっかりと意識しながら読むことが肝心です。この形 については後に触れる機会があるでしょう。
ちなみに、reckless は「何も考えず(その行為の結果を斟酌することな く) wild なことをする」ということです。a reckless child は不可。この 単語の本質は、結果を斟酌する理性の(意図的な)麻痺にあるからです。子供 は「麻痺」する以前に、そもそもそうした判断力をもっていませんからね。
平たい書き方をするなら more and more。ですが、深刻な話題であるだけに 相応の強調を置きたいところです。そこで ever more。ever のもつ「ずっと」感が、このプロセスに「終わりが見えない」という 十分な強調を与えています。実にピッタリとした表現ですね。
continue:「続ける」
debate:「議論する」
access: 「接近」。ここから「モノを使う・利用する」という意味に。
poverty: 「貧困」
unemployment: 「失業」
parental: 「親の」
supervision:「監督」。まぁ「上(=super)から見る(=vision)」ですからね。
さあ、おつかれさま。もう一度本文を読んでみましょう。より深く、より正確 に読めるはずですよ。
They continue to debate what role drugs, media violence, poverty and unemployment play in fueling the problem. But most blame unprecedented access to guns, and too little parental or school supervision, for making youths who may be inclined to violence ever more deadly and reckless. |
さあ後半戦。まだまだ味わいます。
この文章の書き手は実に行き届いています。それは書き出しを見ただけでわ かります。 「彼らは議論し続けている」、大まかな内容はこれだけです。ですから次の ような文が候補としてすぐに浮かびますね。
a. They are debating...
b. They continue to debate...
c. They continue debating...
このうち a は論外です。今までずっと続いてきた議論だからです。それが単なる「今議論しています」ではあまりに拙い。
なるほどと思わせるのは、可能な b と c (continue は後ろに -ing を取 ることもできますね)のうち、b を選んだ嗅覚です。to と -ing はにおいが ちがいます。ポイントは -ing は「生き生きした状況が連想される」というこ とです。
もし continue debating なら、ガチャガチャ議論しているリアルな感触が ともなってきます。ところがこの文は--- 先に述べたように --- 後ろの but 以下で披露される内容の前座。誰もが知っている当たり前の事柄です。ですから、ここに必要以上の力点が置きたくはないのです。なるべくサラッと、なる べく印象を与えないようにしなければなりません。リアルな状況を想起させて そこに思考を逸らせたくはないのです。
静かなピアニシモ。 but から始まるフォルテ。そのリズムをこの書き手が 注意深く作り上げていることに感心するのですよ。
またこの書き手は、読みやすさにも十分な配慮をしています。カンマです よ。カンマは最近の英語ではどんどんルーズになってきています。私はそれに 異議を唱えようとは思いません。ですが、ここのカンマを省略するほどルーズ にはならないようにしてほしいのです。 blame... ときて、読み手はその原因を探します。そこでカンマ。そこで for。これで明らかに blame A for...という形が際だちます。もしカンマがな かったら、読み手は---一瞬にせよ--- 「supervisionを修飾する for かもし れない」と迷います。そしてその迷いは読み手の注意を、内容から逸らせてし まうのです。supervision と for のつながりを断ち切るカンマ。どうしても 必要なのですよ。
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ふう。今週はこれでおしまい。まだまだ舐めたりないが....。ま、ガリガリ 君でも舐めて我慢しよっと。
□□□おーにしの不惑日記 (no.3)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうも歳をとったせいか、腹が立つことが多くなった。
先日ファミリーレストランに行くと、テーブルにタッチパネルのディスプ レーが置いてあって、占いやら宣伝やらチーカチカ。有料ページを含んでいる て、そこから儲けようという算段らしい。誰だこんなの作ったの。どうしてハ ンバーグ食べながら、車だの水着の女性だのを見ねばならんのか。
「飯の時間はテレビを見るな」
私を叱りつけていた父も、墓場で寝返りうっているにちがいない。関係者はす ぐに撤去するように。
かわりに石野真子のポスター貼っといてください。
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